コールセンターの人員不足問題に、どう立ち向かうべきか
人員不足の主要因は、“ストレスフルな業務内容”
コールセンターの人員不足が叫ばれるようになって久しい。コールセンターの利用ニーズが拡大し続ける一方で、オペレータやスーパーバイザなどのなり手が少ない、という需給のアンバランスが背景にあることは想像に難くない。
前者については、一般社団法人日本コールセンター協会(以下、CCAJ)のエージェンシー会員を対象とした調査結果でも明らかで、2018年度から2020年度の3年間については、売上、従業員数(直接雇用者)ともに右肩上がりであった。2020年度インバウンド数に至っては前年比256%と劇増している。
※一般社団法人日本コールセンター協会「2020年度 コールセンター企業 実態調査」(調査期間:2020年6月19日~9月4日)
一方、後者については、人材流出を防ぐために、囲い込みを目的とした正社員化も急速に進んでおり、給与を含めた待遇面については、改善に向かっているようだが、深刻な人手不足の状況は、あまり変わっていない。この点については、コールセンターの業務内容が想像以上にハードで、ストレスフルであることが関係していると思われる。業種などによるが、特に電話でのクレーム対応は、精神的に圧迫されるシーンも多く、一人前になる前に心が折れて辞めてしまう…といったケースは少なくない。さらに、コロナ禍でコールセンター利用者のプロフィールや相談内容が変わり、コロナ禍以前よりも対応が難しい問い合わせが増えているという声も聞く。
テレワークで、ストレス倍加のリスクが!
コールセンター業務のテレワーク移行が低調なことも、人員不足の主要因にストレスフルな業務内容があることを暗示している。
部分的にせよ、在宅での電話対応を実現するには、クラウドCTIや端末、コールセンターとつなぐVPNなどを用意する必要があり、少なからず投資をともなう。だが、それよりも消極的にならざるを得ない理由が、もともとストレスフルなコールセンター業務を自宅で1人きりでおこなうことによるストレス倍加のリスクである。チームのフォローがない自宅で、クレームの電話を受けることはオペレータにとって不安でしかない。その結果、辞めてしまうようなことになれば、運営側にとっても大変な痛手だからだ。
少ない人員でも回る仕組みを考えるべき
人員不足を解消するには、2つのアプローチがある。1つは、離職者を最小限にとどめつつ、積極的に人員を採用して人員の拡充を図る方法だ。だが、“言うは易し”とは、まさにこのことで、給与や福利厚生など待遇面のさらなる改善や、採用強化・教育充実化などが必要で、大幅なコスト増が避けられない。今後もしばらくは、コールセンター利用が増え続けると予想されること。期的に労働人口が減少し続けること。などを考えると、あまり現実的とは言えない。
もう1つは、ムリをして人員を増強するのではなく、今いる人数、あるいは、もっと少ない人数で業務が回るようにする。という方法だ。具体的には、下記のような各種施策によって業務を整理&効率化することで、現場のストレスを低減できる。
営業時間を短縮するなどして呼量を減らす
2020年の緊急事態宣言発出時には、何から何まで初めてだったこともあり、コールセンターの営業自体を停止した企業も多かった。こうした企業は、解除後の今も営業時間を短縮している事例は多い。コールセンターで電話対応するにしても、交代制にするなどして席数を減らし、リスク分散しなければならず、そのためにも呼量の調整(制限)は有効だ。
マルチチャネル化で電話対応比率を減らす
基本的にCS(=サービス品質)と現場の負荷(=ストレス)は、トレードオフの関係にあるが、呼量調節によるサービスレベル低下を少しでも補う意味でも、メール/チャット/SNSなど電話以外のコミュニケーション手段を強化することは重要だ。逆に言えば、マルチチャネル化を進め、電話応対を減らすことは、現場のストレスを低減し、離職を防ぐことにもつながる。メールやチャットでの対応だけならテレワーク移行も容易で、通勤に要する時間を業務に充てることでキャパシティ増加も期待できる。
チャットボット導入などで業務を自動化
チャットボットを用いた問い合わせ対応の自動化は、必要人員の削減につながり、人員不足に効果的だ。ただし、チャットボットで自動化できるのは、定型化できる内容に限られる。まずは、問い合わせ内容や対応など業務内容を棚卸し、定型化できそうな業務を明確にした上で、該当する問い合わせをIVR(自動音声応答システム)などでチャットボットに誘導し、対応を自動化できる。結果、電話対応を減らすことができ、より少ない人数で業務を回すことが可能になる。
意図的に、コールバック対応に切り替える
電話での問い合わせに、リアルタイムで対応することをよしとしてきたコールセンター業務だが、あえてメッセージ録音に誘導して、コールバック対応するという手もある。特にクレームの電話については、メッセージ内容を確認した上で、経験やスキルのあるオペレータに対応を割り振ることができ、最短でのクローズを実現。経験の浅いオペレータがダメージを受け、早期離職に至る最悪の事態を回避する効果も期待できる。
FAQを整備&活用して、短期で戦力化
問い合わせ対応では、一定のスキルやノウハウが必要で、オペレータを一人前に育て上げるのにも時間を要する。このため、席数によっては、教育担当を置くコールセンターもあるが、人による教育は効率が悪く、内容的にも属人化のリスクがある。過去の問い合わせ対応の履歴をデータ化したFAQを整備し、これを簡単に閲覧できる仕組みを用意すれば、困ったときに類似ケースを検索して参考にすることができる。新人の早期戦力化だけではなく、新人以外のオペレータにおいても、業務効率化や属人化排除に効果的で、最終的にサービスの品質向上に貢献する。
コールセンター業務の最適化を支援する「CSStream」
前段で紹介したような対策を打つ上で、強力な味方となってくれるのが、コールセンター向けCRMパッケージ「CSStream」だ。豊富な機能で、コールセンター業務を効率化し、より少ない人員での運用を可能にする同製品について、興味のある方は、お気軽に富士電機ITソリューションにお問い合わせいただきたい。
CSStreamの主要機能
-
情報共有
トップページに、クレーム対応に必要な情報や重要度、案件数と詳細一覧などの情報を表示しメンバー全員で共有。
搭載種別:標準
-
標準FAQ
回答内容の平準化と、回答例検索や回答例から案件作成による受付業務効率化を実現。Excelデータの一括登録も可能。
搭載種別:標準
-
AI FAQ
標準提供のFAQに加え、リアルタイム検索やカテゴリ検索、最新トピックなど多彩な検索が可能なAI FAQもご用意。
搭載種別:オプション
-
音声テキスト化
録音した音声ファイルをテキストデータ化。オペレーターの入力負荷を軽減しつつ、お客様の“生の声”を忠実に記録。
搭載種別:オプション
-
重大化案件自動検知
予め設定したルールに従い重大インシデント発生の予兆をとらえ、危機管理部門などにアラームメールを自動送信。
搭載種別:標準
-
案件滞留防止
担当者を指定する定型ワークフローにおいて、組織単位での対応依頼により、担当者不在による案件滞留を防止します。
搭載種別:標準
-
類似案件検索
過去の履歴や対応中の案件を検索して内容や対応方法を参照することができ、対応の平準化と重複入力の回避を実現。
搭載種別:標準
-
自動過去受付検索
案件作成で受付情報を入力する間に、過去の履歴や対応中の案件を自動で検索してくれ、作業効率向上を支援します。
搭載種別:標準
-
情報集約/対応依頼
メールの自動化オペレーターから営業担当や調査部門に対応依頼メールを自動送信。担当案件一覧のトップページ表示で責任を明確化。
搭載種別:標準
-
進捗状況一覧/
アラームメール依頼案件の進捗状況を一覧表示。しきい値を設定して滞留発生のアラームメールを担当者に自動送信することも可能。
搭載種別:標準
-
フリーワード検索
問い合わせ内容や対応情報の検索・抽出が簡単にでき、商品企画部門や品質保証部門などでの情報活用を促進します。
搭載種別:標準
-
メール連携
電話だけでなく、問い合わせフォームやメールでの問い合わせにも対応。メールを案件に紐づけて一元管理できます。
搭載種別:オプション
-
CTI連携
着信番号通知やデジタル通話録音機能により案件情報を迅速かつ正確に入力。対応依頼(ワークフロー)につなげます。
搭載種別:オプション
-
基幹連携
DWH上にある最新の商品情報や人事情報などのデータベースと連携することで、定期的なデータ更新作業が不要に。
搭載種別:オプション
-
販売店検索
地図サービス連携により、販売店情報をお客様自身で登録・表示。問い合わせ対応の品質や効率が向上。
搭載種別:オプション