問い合わせ対応を効率化する“コールセンターCRM”の機能
企業にとって、顧客やユーザからの問い合わせ対応は、顧客をつなぎ止め、問題点や課題を改善していく上で極めて重要な業務だ。特に不満や苦情などのクレームは、回答内容に誤りがあったり、対応に時間を要したりすると二次クレームにつながりかねず、適切な回答・対応をいかにスピーディにおこなうかが求められる。今回は、富士電機ITソリューションの「CSStream」を例に、問い合わせ対応の効率化に有効なコールセンターCRMの機能をいくつか紹介する。コールセンターCRMの投資対効果を考える上でも、ぜひ参考にしていただきたい。
INDEX
クレームなどの問い合わせ対応はなくならない
顧客やユーザからの電話での問い合わせに対応する企業のコールセンター。若年層を中心に、電話以外のメールやチャットなどのチャネルへのシフトが進むと同時に、FAQ充実などで自己解決率を高め呼量の削減に取り組む企業も功を奏し、電話での問い合わせは減少傾向にある。さらに最近では、コールセンターの人材不足を受け、問い合わせ対応の自動化(無人化)に対応するチャットボットを採用する企業も増えている。しかし、年配者を中心に依然として電話での問い合わせは多く、特に、商品・サービスに関する不満や苦情などクレームの類いにおいて、会話を通じて顧客の不満の程度を感じ取ることができる電話は、今も欠かせないコミュニケーション手段となっている。今後のAIによる感情分析や会話の技術進化にもよるが、ことこうした領域における電話の優位性は当分の間変わらないだろう。
問い合わせ対応の効率化を阻む課題(ハードル)
問題は、人材不足が深刻化するなか、いかに問い合わせ対応の業務全体を効率化し、こうした問い合わせ対応に限られたリソースを集中投下するかだが、問い合わせ対応業務に下記のような課題を抱えるケースも多く、効率化に向けたハードルは高い。
手間や時間がかかる
問い合わせをしてきた顧客やユーザに対し、いかに手際よく適切な回答ができるかどうかは、顧客満足に直結するだけに最優先すべき課題だ。しかし、問い合わせ内容は多種多様であり、なかにはオペレータがその場で回答できず、社内の別部門に確認した上で、後日に回答せざるを得ないものもある。このように複数部門が連携して対応するケースでは回答が遅れがちで、顧客を待たせてしまい、結果的に二次クレームにつながることも多い。
問い合わせ情報の検索・共有が難しい
繰り返し問い合わせをしてきたユーザに対しては、過去の問い合わせ情報を即座に検索し、最新の状況を踏まえて、適切に対応する必要がある。特に効率を優先し、専任担当を置かずに複数のオペレータで対応する場合は、過去の対応状況の確認に手間取り、少しでもまごついてしまうと、顧客に不信感を抱かせてしまうため、問い合わせ情報を一元管理して共有する仕組みが必須だ。
オペレータによって対応の品質がバラバラ
属人化しやすく、ベテランと新人で対応の品質に大きな差が出るのも問い合わせ対応業務ならではの課題だ。品質のバラツキは顧客満足に直結するだけでなく、ベテランの退職によって処理能力が一気に低下するリスクもあり、ベテランの知識やノウハウを共有して対応品質の平準化をはかる仕組みや取り組みが必要だ。
ACWの負担が大きい
コールセンター業務では問い合わせ内容や対応状況などを記録するACW(After Call Work)が欠かせないが、他のオペレータと共有・過去の対応状況を確認する上で、詳細かつ正確に記録する必要がある。ベテランであれば、問い合わせ対応をしながらPCで入力するといった芸当も可能かもしれないが、経験の浅いオペレータは問い合わせ対応を終えてから、振り返ってPC入力することになり、工数的にも時間的にも負担が大きい。
異なるチャネルで問い合わせが入る
多様なユーザニーズにあわせ、問い合わせフォーム、メール、チャットなど、複数の問い合わせ窓口を設ける“マルチチャネル化”も業務効率の観点からは問題だ。1人のユーザが複数のチャネルで問い合わせしてくる可能性があるため、それぞれバラバラに管理して対応するのではなく、すべてのチャネルの問い合わせを一元的に管理して適切に対応できるようにする必要がある。
コールセンターCRMで課題を解決(「CSStream」の場合)
前段で取り上げた課題を解決する上で効果的なのが、コールセンター向けCRMシステム(以下、コールセンターCRM)だ。問い合わせ対応に特化した便利機能を多数搭載し、業務の効率化やスピードアップ、対応品質の底上げと平準化を実現する。以下では、富士電機ITソリューションの「CSStream」を例に、業務効率化に大きな効果を発揮する機能をいくつか紹介する。
便利機能① プルダウンメニューでFAQを絞り込み、問い合わせ情報登録を省力化
問い合わせ区分や商品情報などを予め設定されたプルダウンメニューから選択すると、FAQに登録されている情報が自動で絞り込まれ、問い合わせ内容に近いものを選択して、その情報をコピー&ペーストすることができる。一般的なツールの場合、プルダウンメニューでの登録と、類似情報の検索は別の画面でそれぞれ操作する必要があるが、「CSStream」の場合、同一画面上でプルダウンメニューを選択していくと類似情報が自動検索され、問い合わせ対応しながらワンストップで情報登録できる。ACWの工数と時間を削減し、問い合わせ対応に集中できるようになる。
プルダウンメニューから選び効率的に情報登録
便利機能② フリーワード検索やタグ管理で欲しい情報をすぐに見つけられる
問い合わせ内容や対応情報のフリーワード検索・抽出が簡単にでき、商品企画部門や品質保証部門などでの情報活用を促進するほか、「異物」や「故障」などのキーワードをオペレータがタグづけし、キーワードごとにグルーピングして管理し、重点的に対応することで、二次クレームの発生を防止することができる。
便利機能③ トップページに情報集約、進捗状況の一覧やダッシュボードで、対応の遅れや漏れを回避
クレーム対応に必要な情報や重要度、案件数と詳細一覧などの情報をトップページに表示し、メンバー全員で共有するほか、他部門に調査などを依頼した案件について、進捗状況を一覧表示して見える化することで、対応の遅れや漏れを未然に回避する。日々の問い合わせ対応の状況やフリーワード検索の結果(推移)などをグラフ化して表示するダッシュボードを共有することで、経営層や関連部門への定期レポートの作成業務からも解放される。
ダッシュボードで定期レポート作成が不要に
便利機能④ ワークフローで工程を明確化、対応依頼メールやアラートメールの自動送信も可能
クレーム対応でありがちな、他部門に調査を依頼して後日に回答するケースでは、迅速な対応もさることながら、社内規定に則った手順で承認を得ながら進めることが重要だ。「CSStream」はワークフロー機能を搭載しており、対応工程(報告ルートや担当者、決裁者など)を事前に定義することで内部統制を実現。調査部門への対応依頼メールや予め設定した対応期限を過ぎた場合のアラートメールの送信を自動化して、オペレータの業務負担を軽減しつつ案件滞留を防止する。
便利機能⑤ Box連携で調査結果など関連文書も一元管理
「CSStream」の画面にBoxの画面を埋め込む連携ソリューションが提供され、他部門に依頼した調査結果などの関連文書や画像データなどをいちいちBoxアプリケーションを立ち上げて格納する必要なく、「CSStream」の画面上で文書を一元管理できる。調査結果などの受け渡しの手間を省き、迅速な回答へと導く。
便利機能⑥ メールでの問い合わせも一元管理でき、生成AIによる回答メール作成もオプション提供
問い合わせフォームやメールでの問い合わせにも対応し、メールを案件に紐づけて一元管理できる。生成AIによるメール返答文の自動作成オプションも用意され、これをベースに手直しするだけで迅速に返信でき、対応のスピードアップと効率化に貢献する。
「CSStream」で問い合わせ対応を効率化
前段で紹介した便利機能は、コールセンターCRMとして一般的なものも多いが、問い合わせの入力でプルダウンを選択するのと同時にFAQを自動で絞り込める機能は、「CSStream」ならではの機能で、問い合わせ対応をさらに効率化するという点で注目に値する。このほか、報告ルートや担当者の変更に臨機応変に対応するワークフロー機能の柔軟性や、参照するだけのユーザはフリーライセンスでコストを抑えて大規模ユーザに対応できる点も同製品の強みだ。このあたりは、他部門への調査依頼の頻度やユーザ規模など自社のニーズにあわせて最適な製品を選びたい。
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